【国際政治経済学入門】
政府が発表する家計消費などのデータをみると、昨年4月の消費税増税による打撃が依然として深刻だ。アベノミクスは今後、増税の後遺症を払拭できるだろうか。
リーマン後の米は大成功
アベノミクスを代表するのは日銀の量的金融緩和(異次元緩和)による第1の矢である。量的緩和とは平たく言えば、中央銀行がカネをじゃんじゃん刷って金融市場に流し込む。短期金利を操作する従来の金融政策と異なるから、米連邦準備制度理事会(FRB)は「非伝統的」、日銀は「異次元」と呼ぶ。
カネを刷れば景気がよくなるとは、まるでおとぎ話に聞こえるのだから、「アホノミクス」と罵倒する某大学の名物教授もいる。だが、FRBが量的緩和を実施した米国の場合、大成功である。
FRBは2008年9月の「100年に1度の大津波」と騒がれたリーマンショック後、14年10月まで6年間、4度に分けて実施した。日本の場合は実施期間もまだ2年余りで成否を問うには早すぎるかもしれないが、米国を参考にすれば、日本の課題も見えてくる。