「冗談好きでおしゃれに気を使う普通の若者だった」。チュニジアの首都チュニスで日本人観光客らが殺害された博物館襲撃テロを実行したヤシン・ラアビディ容疑者(26)=治安部隊が射殺=は周囲にイスラム過激思想を語ることはなかったという。親族らは21日、犯行は「信じられない」と、戸惑いを隠せないようすだった。
「教育、しっかり受けた」
チュニジア当局によると、ラアビディ容疑者は近所のモスクで過激派に勧誘され、昨年12月にリビアに密入国し軍事訓練を受けた。帰国後はテロリスト予備軍として潜伏。国際テロ組織アルカーイダに近いとされる過激派アンサール・シャリアに所属していたという。
チュニス中心部から車で約20分。ラアビディ容疑者が育ったのは、中流層が多く暮らす静かな住宅街だ。コンクリート製3階建ての自宅に両親、兄姉と暮らし、親族の一人によると「子供のころから活発で、教育もしっかり受けた」という。
遺体はまだ戻らず、自宅では親族らが祈りを続ける。近所の女性は「私の子供が泣くと、抱き上げてあやしてくれた。優しい子だった」と涙を浮かべた。