【アートクルーズ】
日本のものづくりは、すごい! 当たり前のことを再認識させる展覧会だ。「菊池寛実記念 智美術館」(東京都港区虎ノ門)の「菊池寛実賞 工芸の現在」で、伝統工芸と現代工芸の作家12人が、神業ともいえる技術を駆使し、美の競演を繰り広げている。
2003年の開館以来、この美術館は陶芸作家や陶芸の研究家の育成を目指し、現代陶工の公募展「菊池ビエンナーレ」などを開催してきた。
しかし、12年の展覧会「茶の湯の現代」開催で、茶道具に関する金工、漆工、木工など幅広い公募を実施したところ反響があり、「菊池寛実賞」を設けて、工芸全般の育成、支援に乗り出すことにした。昨年末、一線で活躍中の作家の中から受賞者を含めた12人が、美術館関係者や大学教授ら専門家に選ばれ、その作品計54点が展示されている。
出品者12人は、築城則子(染織)=菊池寛実賞▽田口義明(漆工)▽相原健作(金工)▽中村信喬(人形)▽石田知史(ガラス)▽新里明士(陶磁)▽江波冨士子(ガラス)▽春木均夫(人形)▽神農巌(陶磁)▽武関翠篁(竹工)▽須田賢司(木工芸)▽山本晃(金工)の各氏。このうち9人が伝統工芸に属し、須田、山本両氏は選定後、重要無形文化財保持者(人間国宝)にも選ばれている。