「病気になったらどうするのですか」。数えきれないほど多くの人たちから尋ねられてきた。病院はおろか建物も道路もなく、人さえもいない地球のはずれでひとりでキャンプをするのだから、心配されるのも無理もない。
備えはこうだ。もしもの時に助けを呼べるように衛星電話を持っている。これがあれば絶海の孤島からであろうが厳寒のかまくらの中からであろうが電話がかけられる。日本の携帯電話の相手とクリアな音声で会話ができるのだから、その品質は申し分ない。
ただ滞在する場所が場所だけに、電話をかけてもすぐに助けが来てくれるわけではない。悪天候で1週間セスナが飛べないことなどざらにある。
そうなるといかに病気を悪化させないかも重要になる。鎮痛剤や風邪薬はもちろんのこと、大量の抗生物質も欠かせない。アラスカへ出発する前には1カ月分の抗生剤を買い込むのが恒例となっている。