イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が日本人2人を殺害すると脅迫した事件は23日午後、日本政府が判断した身代金2億ドルの支払期限を迎えた。安倍晋三首相(60)は閣僚懇談会で「内閣を挙げて全力で取り組んでほしい」と述べ、湯川遥菜(はるな)さん(42)とフリージャーナリストの後藤健二さん(47)の安否確認と早期解放に向けた作業を急ぐよう指示した。菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は23日の記者会見で、イスラム国側が「72時間以内」とした身代金の支払期限が過ぎたことに関し「依然として厳しい状況だが、2人の解放に向けて全力で取り組んでいる」と語り、救出作業を続行する考えを強調した。安否については「さまざまな情報に接していることも事実だ」と説明した。
政府は、支払期限をイスラム国側のビデオ声明を確認した時刻を起点に23日午後2時50分頃としてきた。首相はその直前、麻生太郎副総理兼財務相(74)や菅氏、岸田文雄外相(57)ら関係閣僚を呼び、国家安全保障会議(NSC)を開催し、情報分析や今後の対処方針を協議した。菅氏はイスラム国の動向について「相手側の意図や背景は分析しているが、コメントは控えたい」と述べるにとどめた。