バラク・オバマ米大統領(53)は20日夜(日本時間21日午前)、2015年の施政方針を示す一般教書演説を上下両院合同会議で行った。オバマ氏は、日本人2人を殺害すると脅迫したイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の壊滅を目指す考えを強調。また、残り2年間の任期で中間層を重視した経済政策を推し進める考えを鮮明にした。
演説でオバマ氏は、「イラクやシリアでは軍事力を含む米国の指導力がイスラム国の前進を食い止めている」との認識を表明。地上戦闘部隊を派遣せずイスラム国を弱体化させ、最終的に壊滅させると強調した。
一方で、壊滅までには「時間がかかる」とも指摘。米議会に対し、イスラム国との戦いに焦点を絞り、大統領に軍事力行使権限を与える決議をするよう求めた。フランスでの連続テロ事件にも言及し、「テロリストを追い詰め、ネットワークを解体する」と述べた。
また、南シナ海や東シナ海に進出する中国や、北朝鮮の核開発を念頭に、海洋紛争の解決や核不拡散のため「アジア太平洋での同盟の近代化」を進めると主張。中国が通商ルール作りを主導するのを防ぐため、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の合意に不可欠とされる大統領貿易促進権限(TPA)法案の早期可決を米議会に求めた。