【国際情勢分析】
大みそかの夜、上海市中心部の広場でカウントダウンを待つ大群衆が折り重なるように倒れ、36人が死亡し、約50人が重軽傷を負うという痛ましい事故が発生した。
しかし、翌日の地元の主要紙「解放日報」は、事故についてわずか数行の短い記事を掲載するにとどまった。この日、解放日報の一面トップを飾ったのは「偉大な人民をほめなければならない」と題する習近平国家主席(61)の新年の挨拶だった。挨拶の中身は、特に新しい内容はない。アジア太平洋経済協力会議(APEC)の成功や、南京事件の犠牲者を悼む初の国家追悼日の実施など、習政権の2014年の実績を紹介することが中心だった。一面に掲載された6本の記事のうち、実に4本が習主席に関するものだった。
大惨事がわずか数行
インターネットなどには「人の命より指導者の講話が大事なのか」といった批判が殺到したが、すぐに削除された。