「家庭」のあり方が多様化する中、ローマ法王フランシスコ(77)が、カトリック教会がタブーとしてきた離婚や中絶などへの対応に真正面から取り組むことを表明した。教義と信者の生活実態の溝への対処は教会の大きな課題。5日には世界各地の教会の代表者らを集めた会議が開幕し、法王はミサで「(会議は)神のブドウ畑をより良く管理し、手入れをするためのものだ。神は私たちに家庭を気遣うよう求めている」と強力なメッセージを発した。会議での議論を法王は取り組みの一歩としたい考えでおり、どのような方向性が示されるか注目される。
現実と教義の乖離
カトリックの総本山バチカンでは5日、「世界代表司教会議(シノドス)」の臨時総会が19日までの日程で始まった。提起された問題を討議して法王に意見を具申するシノドスは昨春に就任した現法王の下で初開催となる。数年ごとの通常総会とは別に約30年ぶりの臨時総会として招集され、世界の高位聖職者約200人と、専門家や信者夫婦らが参加した。
カトリックは同性婚や人工中絶、特殊事例を除く離婚を禁じる。だが、近年は同性婚や中絶は信者にも広まっており、会議前に世界各地の教会に行ったアンケートでは、現場の聖職者が対応に苦慮している実情が浮かび上がったとされる。