国内感染が広がっているデング熱について、厚生労働省は5日、東京都新宿区の区立新宿中央公園で蚊に刺され、発症したとみられる患者が確認されたと発表した。代々木公園(渋谷区)とその周辺を最近訪れたことはないという。代々木公園以外で感染者が確認されたのは初めて。新宿区は公園の蚊の駆除を始めた。
菅義偉(すが・よしひで)官房長官はこの日の記者会見で、「蚊の移動距離は限られており、越冬も難しい。大規模な感染拡大は考えにくい。重体になることも少なく、これまで亡くなった方は報告されたことはない」と冷静な対応を求めた。
厚労省によると、患者は埼玉県の30代男性で8月中旬から下旬、5回にわたり新宿中央公園を訪れた。8月30日に発熱や頭痛などの症状を訴えたが、入院はせず、容体は安定している。
男性から検出されたウイルスの遺伝子配列は代々木公園で感染した患者と一致しており、同じウイルスが新宿中央公園に広がったとみられる。新宿中央公園は代々木公園の北約2キロで、行動範囲が100メートル以内とされる蚊が移動したとは考えにくいことから、厚労省は代々木公園周辺で蚊に刺された患者が、新宿中央公園周辺で別の蚊に刺されたことで感染が広がった可能性が高いとしている。また、厚労省は、ウイルスが1人の感染者によって国内に持ち込まれたとの見方を示した。