シンジャールでは、クルド族の少数派ヤジド派の住民が山頂に追い詰められて孤立。十分な食料や飲料水もなく、子供40人が高温と脱水症状のために死亡しており、米政権は輸送機3機で8000食分の支援物資を投下した。
オバマ大統領が空爆を承認したのは、一義的に「米国人の安全確保と人道目的」という理由からだ。これまでのイラク支援策は奏功しておらず、外交・安全保障政策に対する国内外の不満は高まるばかりで、失墜した「指導力」を取り戻す狙いもあるとみられる。
「米国人を守り、大量虐殺を防ぐことは米軍最高司令官としての責任だ。ただ、米国がイラクに再び引き込まれることは許さない」
ホワイトハウスで声明を読み上げたオバマ大統領は、こう強調した。本音ではいかなる軍事介入も避けたい大統領にとって、苦渋の決断だったといえる。