【国際情勢分析】
南シナ海で国際法に基づかない「九段線」を根拠に権益を主張する中国に対して批判が高まる中、台湾の南シナ海政策にも風当たりが強まりつつある。台湾も公式には中国と同じ論理で同じ範囲の権益を主張しているためだ。現状では研究者の指摘にとどまるが、米国や関係諸国が政府レベルで提起してきた場合、「国際法の順守」や「対話による紛争解決」を掲げて国際社会での地域向上を図ってきた馬英九政権にとり、痛手となる可能性もある。
中国同様の領有権主張
「馬総統は、台湾の海洋権益の主張を、歴史的な権利ではなく現在の国際法に基づくものに再定義すべきだ」
台湾の外交部(外務省に相当)などが8月5日、台北市内で開いたシンポジウムで、新アメリカ安全保障センターのパトリック・クローニン上級顧問はこう指摘した。クローニン氏はまた、台湾が実効支配するスプラトリー(台湾名・南沙)諸島の太平島での埠頭(ふとう)建設の凍結も要求。