【国際情勢分析】
ウクライナ情勢をめぐり、欧米が相次いでロシアへの制裁を発動している。なかでも欧州連合(EU)は8月1日、ロシアに対する本格的な経済制裁を発動した。対象は露銀行最大手の国営ズベルバンクや政府系天然ガス最大手ガスプロム系のガスプロムバンクなど5行。これまでの制裁が、影響力のあるロシア人やウクライナ人に対する渡航禁止令や資産凍結のレベルだったことを考えれば、かなり踏み込んだ内容になった。
脅かされる大統領の座
その背景を詳しく報じているのが1日に掲載された英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の記事だ。記事は「ズベルバンクをEUが今回制裁対象にしたというのは、7月17日のマレーシア機撃墜事件以降、EUがウクライナ東部での親ロシア派武装勢力をめぐって続いた優柔不断さを転換し、モスクワに対する強硬姿勢を取るというサインだ」と指摘する。ズベルバンクはロシアの銀行システムの50%の資産を保有しており、発行する債券や株式の欧州での売買が禁止されるなど金融取引を大幅に制限した今回の制裁は、米国の対露制裁よりも効果を持つとみられる。