【安倍政権考】
7月13日投開票の滋賀県知事選では自公両党が推した元経産官僚が敗北、民主党元衆院議員の三日月大造(みかづき・たいぞう)氏(43)が接戦を制した。この結果をもって安倍晋三政権の“潮目”が変わったという論評もある。果たしてそうだろうか。
難しい地方選
告示後に集団的自衛権の行使容認に関する与党協議がまとめられ、閣議決定された直後から内閣支持率は下がっている。セクハラやじ問題も自民党のゆるみだという指弾もあった。無党派層も動かず、自民党閣僚経験者が「滋賀県知事選は、頂門の一針だ」と警鐘を鳴らしているのももっともだ。
友党である公明党の実動部隊の足も鈍りがちだった。公明党と支持母体の創価学会は、集団的自衛権の問題にはかねてから慎重だった。与党合意に至った経緯を党内でしっかりと納得する時間が足りず、一進一退の選挙情勢に焦った官邸筋からてこ入れ要請が頻発されたにもかかわらず、「公明党が必死のF(フレンド票)取りをしたような感触はなかった」(自民党幹部)という。