2005年8月に南東部を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」で、当時のジョージ・ブッシュ大統領(68)による視察の遅れが失点となったことになぞらえたものだ。ただ、オバマ氏は形式的な視察には意味がないと考えているようで「(メディア向けの)写真撮影機会には関心がない」と批判に反論した。
政権は不法移民の市民権取得に道を開く包括的な移民制度改革を目指しており、共和党は中米諸国で生じている「いま入国しておけば市民権が取得できる」との誤解が不法入国の急増につながったと主張している。取り締まりの現場を視察しても、デメリットこそあれメリットはないと計算したのだろう。
オバマ氏はこのほど不法移民への緊急対策のため米議会に37億ドル(約3750億円)の予算を要求し、膠着(こうちゃく)状態にある移民制度改革関連法案が成立しなくても行政府の判断で移民対策に取り組む姿勢を明確にした。
決められない政治
移民制度改革、同性婚への支持、最低賃金引き上げといったリベラル色の強い政策を進め、あえて共和党との溝を広げているオバマ氏。最近の世論調査で、その狙いの一端を推し量ることができる。