緑豊かなフィリピン・ミンダナオ島。ここで現地の子供たちと暮らすひとりの日本人がいる。「ミンダナオ子ども図書館(MCL)」の松居友さんだ。紛争の絶えない山岳地帯を訪ねて子供たちに絵本を読み聞かせる活動のほか、就学支援、保育所設立、難民救援、植林活動などを行っている。
「笑顔に救われた」
ミンダナオは石油や天然ガスなどの資源に恵まれ、果実のプランテーションも広がる島だ。子供たちは美しいジャングルを遊び場に育つ。けれどもなぜか現地の人たちの暮らしは貧しい。プランテーションの開拓で住む場所を追われた先住民の多くは、草刈りや洗濯などの日雇い労働で日銭を稼ぐ。ほとんどの家族が子だくさんだが、子供を学校に行かせることもできない。学歴がないと就職は難しく、貧困の連鎖を断ち切れない。加えて、反政府勢力との紛争、上流の森林伐採による洪水などで、避難民は80万人にも及ぶ。容赦ないスコールに見舞われる熱帯雨林での避難生活は厳しい。
MCLは、ビニールシートや古着の提供のほか、炊き出しや医療支援を行ってきた。孤児のほか、片親や極貧家庭、学校から遠い山岳地域の子供たちを引き取ったり、学校に通えない子供たちへのスカラシップ(奨学金)支援を行ったり、里親制度を設けたりと、活動は盛りだくさんだ。