彼女が配給する映画はどれも今の日本の現状と重なっている。だから、エンドロールが終わってすぐには立ち上がれない。しかも、ボディーブローのようにじわじわ効いてくるので、一度見たら忘れられない。そしてもう一度見たくなるのだ。なぜなら考えさせられるから。「何が言いたいのか分からなかったという評論家や観客もいる。感じ取ろうとしない人がいることにビックリする。説明してくれる親切な映画に慣れすぎてるんだろうね。ま、そういう映画の方が当たるんだろうけど。アハハハー」。やっぱり笑う。ラテンだ。
父の日の前日の(6月)14日から、「新宿K’s cinema」で5週間公開されるのは、イタリア映画『幸せのバランス』。磊落だった父親があることから妻に三下り半を突きつけられ、ホームレスに転落。そこで娘は、妻は…。家族って? 人生って? 比嘉さんが発信する映画は私たちに問い続ける。(一般社団法人「Get in touch」理事長 東ちづる/SANKEI EXPRESS)