【大人の時間】
人間の三大欲求は食欲、睡眠欲、性欲。そして4番目は「パン欲」だ-。パンを食べたくて食べたくてたまらない、そんな欲望に導かれるまま日本全国を旅した様子を著書『パン欲』(世界文化社)にまとめたパンライター、池田浩明さん。半年かけて巡った全国のパンの聖地の中から、とっておきの6店を教えてもらった。
パンは、土地と、そこに生きる人が作るもの。地域性が如実にあらわれる。
地元産小麦にこだわり
まずは北海道帯広市の「麦音(むぎおと)」。十勝地方は小麦の一大産地。麦音は地元産小麦を100%使用している。十勝産の小麦の品種の一つ「キタノカオリ」のよさを堪能できるのが、チャバタ。東京の有名店のシェフから教えを請い、作ったもちもちした味わいが特徴だ。「東京では高級パンという位置づけですが、ここでは鶏肉を挟んだりと、総菜パンとして日常的に食べられている。小麦の産地ならではの、とても豊かなパン文化が根付いているのです」と池田さん。