他人のパソコンを簡単に乗っ取り遠隔操作ができるソフトウエアによって、世界約100カ国で50万台以上が被害に遭っていた事件が摘発された。米連邦捜査局(FBI)と欧州16カ国の捜査当局が協力し、5月20日までに開発者や利用者97人を逮捕した。
「ブラックシェーズ(黒い闇)」と呼ばれるこのソフトはわずか40ドルで購入でき、感染させたパソコンからデータやパスワードを盗み出したり、搭載カメラで盗撮したりできる。日本でもパソコン遠隔操作事件が波紋を広げているが、誰もが危険なサイバー犯罪者になれてしまうソフトの存在は衝撃的だ。
「安く手に入れることができ、簡単に使えるが、機能は洗練され、侵入能力も驚異的だ」
米国のプリート・バララ連邦検事はAP通信に、ブラックシェーズについてこう語った。
闇サイトで販売
欧米メディアによると、FBIと欧州捜査当局は先週、各国で一斉摘発に踏み切り、2日間で359カ所の家宅捜索を実施。ソフトを開発・販売した主犯格のスウェーデン人(24)を東欧のモルドバで逮捕したほか、ハッカー90人以上を捕まえた。ハッカーたちは情報交換サイトで摘発を知ったが、その時は手遅れだったという。