□映画「ブルージャスミン」
昨年(2013年)夏のニューヨーク滞在中、ポッカリ時間が空いたのでビレッジの映画館に向かった。「ウディ・アレン監督+ケイト・ブランシェット主演」という看板を見て迷わずチケットを買った。上映まで時間があったので近くのカフェに。私が何気なくテーブルに置いたチケットを見たショートヘアのウエートレスが「ケイト・ブランシェット最高だったわよ」と親指を立ててニッコリ。「あなたを信じるわね」と言いながら私はカプチーノを注文した。
気品、知性にじみ出る
映画の冒頭からジャスミン(ブランシェット)が“壊れている”。サンフランシスコに向かう飛行機の中、隣の席の婦人を相手にしゃべり続け、空港到着後もその婦人にまとわりついて誰も聞いていない話をまくし立てる。妹のみすぼらしいアパートに到着した後はタクシーの運転手に部屋まで荷物を運ばせて気前よくチップを払う。まるで5つ星ホテルに着いたのと錯覚しているようにも見える、高級ブランドで全身を包んだジャスミン。ニューヨークでのジャスミンの過去のセレブ生活と、落ちぶれて妹のアパートに転がり込んで来た現在のどん底生活が交互に見せつけられる。虚栄心の塊であるジャスミンはパーティーで知り合った外交官の男に擦り寄り人生の巻き返しを企むが嘘が全て露呈してしまう…。