≪「すぐに殺される」 閉塞感が国を覆う≫
2012年12月1日、エンリケ・ペニャニエト大統領の就任式の日、メキシコ各地で反対デモが行われた。首都では大人や若者らが大通りを行進し、一部の若者は銀行やショッピングセンターなどの建物を襲撃した。中心部の店舗はシャッターを閉め、武装した警察官が道を封鎖し、街は物々しい雰囲気に包まれていた。
若者らは、時には警官隊ともみ合いになりながら、ペニャニエト大統領がメキシコ州知事時代に行った政策や政府の貧困対策、不正が行われた大統領選への抗議や再選の要求などを口々に訴え、大統領の名前と「暗殺者」を意味する単語をシュプレヒコールしていた。若者らが大声を張り上げ、真剣に抗議する姿から、メキシコ政治の深い闇と彼らの失望感を感じる。
デモが収まった後は、現地の2人のカメラマン、ホルヘとロベルトとともに夕食に行き、お互いに撮った写真を見せ合いながら、メキシコの国内事情に話が及んだ。彼らによるとデモは日常茶飯事で、ペニャニエト氏が大統領に選出されたときは、もっと大規模なデモが行われたという。