中国人とベトナム人の血を引く両親のもと、ベトナムで育った。高校はフランス人学校に通い、1972年に渡米し、大学へ。82年、ロサンゼルスにブティックを開き、96年、「チャン ルー」ブランドをスタートした。
幼い頃から今まで、海外へたくさん旅をした。どこに行っても、とりわけ心引かれるのは、現地の伝統工芸品。手から手へ技術が受け継がれ、時代を経て磨かれてきた技巧やデザインが、チャン・ルーさんの感性に響き、次の発想を生むのだという。
米先住民の工芸品から着想
例えば、今季春夏の新作アクセサリーは、ネーティブ・アメリカン(米先住民)の文化に着想を得た。鮮やかな空色のトルコ石と、くすんだグレーのラブラドライトの球が連なるラップブレスレットで、金と水色の小さなシードビーズでトライバル(民族的)な柄が編まれた部分はタペストリー(壁飾り)の柄がヒントになった。
「ネーティブ・アメリカンの工芸品の色使いが大好き。過去から培われた伝統の豊かさに心が引かれます。私のクリエーションは常にモダンなものですが、受け継がれた技術を現代的な形でミックスしてきました。伝統と融合すると、モダンなものにも温かみが生まれると感じるんです」