【Campus新聞】
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり…」で有名な平家物語。明星(めいせい)大学は、江戸時代前期に製作された貴重な絵本を所蔵している。この絵本は全12巻から成るが、1巻と12巻が失われていて、明星大学にあるのは2~11巻だ。
「祇園精舎の鐘の声…」が描かれている1巻がないのは残念だが、実際に絵本を目にすると、絵の具や金粉をふんだんに使った鮮やかで優美な絵柄に圧倒された。
江戸時代前期に作られたものとは思えないほど、絵も文字も色あせることなく当時のまま現代に伝えられている。「大名クラスの家で、娘の嫁入道具として持たせたいわゆる『嫁入り本』ではないか」という。
杉田玄白らが翻訳し、1774年に出版された「解体新書」も見ることができた。ドイツ人医師クルムスの医学書のオランダ語訳本「ターヘル・アナトミア」を、オランダ語がほとんど分からない杉田らが3年かけて解読した血と汗の結晶ともいえる有名な書物である。
もちろん、「解体新書」出版の苦労話が詰まっている杉田玄白の「蘭学事始」(1869年出版)もある。