抑揚などで判断?
異なる言語を聞き分けたことについて、言葉を理解しているわけではなく、声の抑揚や母音などから歌っているように聞こえるマサイ族の言葉と、そうではないカンバ族の言葉を区別しているのではと推測。さらに声を聞くと、すぐに逃げ出すのではなく用心深く立ち去っていることから、「マサイ族は狩りの時は静かにしており、話をしているときは狩りの最中ではないということまで理解している可能性がある」と指摘している。
牛を放牧しながら移動して暮らすマサイ族は水場や放牧地をめぐり対立関係にあるゾウを狩猟の対象としてきた。シャノン博士は「予測できないマサイ族の行動に対応するために身に付けた能力だ」としている。
ただ、高い危機回避能力を会得したアフリカゾウたちも、象牙を狙う現代の密猟者からは逃げられず、2012年には約2万2000頭が殺されたという。
英サセックス大学の行動生態学者カレン・マッコーム博士は、米ナショナル・ジオグラフィック・ニュース(電子版)にこう言って嘆いた。
「残念ながら、ゾウたちは自動小銃を使う密猟者のような危険な人々には順応できない」(SANKEI EXPRESS)