「おい、あっちを見ろ。ゾウの群れがくるぞ」。フランス通信(AFP)などによると、研究グループはケニアのアンボセリ国立公園で約2年間にわたり、こう話す人間の声をゾウに聞かせ続けた。47家族の数百頭を対象に毎日数時間、約50メートル離れた場所からスピーカーで声を流し反応を観察した。
その結果、マサイ族の成人男性の声を聞くと、ゾウたちは一カ所に集まり、匂いを嗅ぎながら子供を守るようにして遠ざかっていった。一方、マサイ族の成人女性や子供のほか、農耕民族のカンバ族の成人男性が異なる言語で話す声には反応を示さなかった。一度、手違いでシャノン博士のアイポッドに入っていた英ロックバンド、ダイアー・ストレイツの曲を流してしまったことがあったが、それにも全く無反応だったという。
こうした反応の違いは統計的に明確で、「危害を加えるグループと、そうではないグループを明確に区別している」と結論付けた。