なぜ未唯mieが地下の稽古場で、寺山作品の稽古に励むことになったのか。実は未唯mieは寺山逝去の翌84年、寺山作のロックミュージカル「時代はサーカスの象にのって’84」に主演。共演した天井桟敷出身の蘭妖子と縁が続き、今回の出演につながった。トップアイドル時代は「正直、寺山さんの作品の意味がよくわかってなかった」と明かす。あれから30年。宝島では主役の海賊シルバーだけでなく、寺山修司役も演じる。そのため寺山を知る金や宇野に取材をし「虚構の世界を表現するのがとても好きで、自身の正体でさえかぶいて見せた。シャイで少女っぽい面もあり、人を楽しませるのが好きだった」という寺山の素顔を聞き出し、「寺山さん、よかったら私の体を使って表現して」という境地で演じることにした。
胸に迫る魂の故郷
寺山は鋭敏な感性で言葉を紡いだ。セリフとして寺山の短歌や詩を口にするたび「寺山さんが見ようとした景色が見えてくる。寺山さんの言葉には、想像を羽ばたかせる余白のようなものがある。それでいて哀愁があり、魂の故郷を感じるというか…胸に迫ってくるんです」。