【尼さんの徒然説法】
晴れた朝、お堂の障子をそっと開けてお日さまの光を招き入れます。外は冷たい風が吹いていますが、すうっと堂内に広がる暖かな光りはまさに「初春」。穏やかなぬくもりに感謝しつつ、年の初めに皆さまの一年のご無事をお祈りしております。
人が見ていなくても
新たな年を迎え、初詣に行き「今年は良い年になりますように」と祈ってこられた方も多いと思います。ことに人は自分の身に降りかかった悩み事や困ったことがあると目に見えぬ神仏に手を合わせては「何とかなりますように。うまくいきますように」と必死に願いをかけます。しかし悩み事や困り事の原因は、その人の前世の業因(ごういん)や今生(こんじょう)での言動の結果によるもの。ただ手を合わせ「祈ればなんとかしてくれよう」では神仏もおみこしをあげてはくださいません。すべてその人のこれからの「生きざま」によります。悪を止めて善を積み、正しい道を歩む努力をする人と、人が見てさえいなければ、法律に違反していなければ、倫理道徳を無視していなければ何をしてもいい、自分さえよければいいと生きていく人との間には雲泥の差が生じます。人としてどちらの生き方が良いかは言うまでもありません。