2013.12.28 11:00
「前から父・團十郎の演出で上演しようとしていた」と話す、歌舞伎俳優の市川海老蔵さん(飯塚友子撮影)【拡大】
「力も才能も持っていながら、平家方についたがゆえ報われず、滅んでいく。そんなダークヒーロー像は、現代に置き換えても通用する魅力があるのではないか」
十八番4演目新構成
歌舞伎俳優、市川海老蔵(36)が新年演じるのは、平家滅亡後も源氏打倒を狙い続け、源頼朝暗殺を37回も企てた悪七兵衛(あくしちびょうえ)景清。この“反逆の英雄”は、海老蔵の祖先・七代目市川團十郎が家の芸として制定した「歌舞伎十八番」にも4演目で登場するが今回、それらを新構成する形で「寿三升景清(ことほいでみますかげきよ)」(川崎哲男・松岡亮脚本、藤間勘十郎振付・演出)を上演する。
舞台で描かれるのは景清の波乱の生涯だ。景清(海老蔵)に、中国の伝説的な軍神・関羽の魂が乗り移って超人的パワーを獲得(歌舞伎十八番では「関羽」)。ひげそりにかこつけ、三保谷四郎(市川左團次)から命を狙われても、景清は不死身だ(「鎌髭」)。平家滅亡後も生き残って土牢に閉じ込められ、源氏方の秩父庄司重忠(中村獅童)が景清の妻・阿古屋(中村芝雀)らを人質に駆け引きを図るが、それも切り抜けて牢破り(「景清」)。そして源氏打倒の夢破れた景清が、悟りの境地に至るさまは、舞踊劇で表現される(「解脱」)。