何十カ国を回っても、まだまだ世界には驚かされる風景がたくさんあるのだなと、久しぶりに感動した写真集に出会えました。『PIPELINE ICELAND/ALASKA』(講談社、3780円)は、写真家・石塚元太良(げんたろう)さんが10年前から題材にしているパイプラインの写真集です。
アイスランドとアラスカに存在する地熱や石油を運ぶためのパイプライン。広大な風景に存在している無機質な人工物です。作品によってはパイプラインが浮いているように見える物もあり、風景に付け足したように見えます。雄大な風景から無機質なパイプラインを消すとその風景は普通になってしまい、パイプラインがその風景を構成する不可欠な存在の一つとなっていることに感動しました。
秘境や絶景にも驚かされますが、パイプラインという果てしなく続く旅にまた感動します。とにもかくにも、近くの書店に駆け込んでその目でこの写真集を見てもらいたいです。果ての果ての世界を見てみませんか?(“旅の本屋”BOOK246/SANKEI EXPRESS)