来年2月、ノルディックスキー・ジャンプの女子選手が五輪で初めてソチの空を舞う。1999年に女子だけの国際大会が行われてから14年。先駆者の思いは後輩へと引き継がれ、歴史的なシーズンを迎える。
挑戦に冷たい視線
その挑戦に向けられた視線は冷たかった。74年にオスロ伝統のホルメンコーレン大会で女子が初飛行した際、当時の男子の世界王者は「勇気は尊敬する。でもジャンプは女性がすべきスポーツではない」と断じた。
日本の先駆者、山田いずみさん(35)は中学1年の92年にノーマルヒル、97年にはラージヒルを公式大会で初めて飛んだ。しかし一部で「着地の衝撃で出産できなくなる」などと言われていたのを後から聞き、ショックを受けた。「実力で認められるしかない」と強く思ったことを覚えている。
男子ほどに試合数はなく「目標を立てづらく悩んだ時期もあった」と明かす。2歳下の葛西賀子(かさい・よしこ)選手(33)=現姓・吉泉、日本空調=が中学卒業で競技を続けるか迷った時には「女子が減ったら試合に出るチャンスが少なくなる」と引き留めた。