またひとつ日本の競馬史に金字塔を打ち立てた。11月17日に京都競馬場で行われた第30回マイルチャンピオンシップ(1600メートル芝18頭、GI)で、武豊騎手(44)が騎乗した2番人気のトーセンラーが1分32秒4で優勝。武豊騎手は昨年に続いてこのレースを制し、中央GI68勝目をマーク。地方での25勝、海外での7勝を加えて史上初のGI通算100勝を達成した。
25年で節目の大台
「長年、いろんな場所で積み重ねてきた数字なので、素直にうれしい」
静かな口調に喜びがにじむ。GI初勝利は、デビュー2年目の1988年にスーパークリークで勝った菊花賞。それから25年で節目の大台に乗せた。
中央のGIでは、騎手の誰もが夢見る日本ダービーで史上最多の5勝を挙げているほか、天皇賞で11勝(春6勝、秋5勝)、桜花賞でも5勝を積み重ねた。地方では東京大賞典5勝、JBCクラシックは5連覇を含む6勝。海外でも94年に日本人騎手として初めてフランスのムーラン・ド・ロンシャン賞を制したのを皮切りに7勝を挙げた。
この日のレースも、“天才”が思い描いた通りの展開に持ち込んだ。好スタートを切ったが前半は後ろから3、4頭目に待機。内目の経済コースを淡々と進んだ。
「周りに速い馬が多いからね。考えていた通りの展開だった。馬も初めての距離だが普通に走っていた。内目も思っていたより荒れていなかった」