習近平政権は元鉄道相に死刑判決を下すなど、厳罰による汚職撲滅を掲げ、国民の不満の矛先を当局からそらそうと躍起になっている。しかし、今年7月には、北京国際空港で治安要員に殴られて障害を負った男が爆発物を起爆させるなど「無差別型」事件が相次いでおり、当局は不測の事態に神経をとがらせている。
共産主義を掲げながら、貧富の差は拡大する一方で、四川省成都の研究機関は昨年、中国の所得格差の程度を示すジニ係数(1に近いほど不平等)が2010年に0.61となり、社会が不安定となる警戒ラインとされる0.4を大きく超えたとの調査結果を発表した。現在、世界中で0.6を超している国は中国以外では、ボツワナ、シエラレオネ、中央アフリカ、ボリビアなど一部のアフリカ、中南米諸国だけであり、0.61とは、中国では社会の不満が爆発する寸前であることを物語る超異常な数字といえる。
中国当局が最も懸念しているのは、今回の事件に触発された模倣犯が増加し、やがて国民の不満が「燎原(りょうげん)の火」のごとく炎上する事態である。(SANKEI EXPRESS)