【国際情勢分析】
今月(10月)上旬のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて行われた中国と台湾の当局者会談を機に、中台の政治対話に向けた関心が高まっている。中国が来年、北京で開催するAPECに台湾の馬英九(ば・えいきゅう)総統(63)を招待し、習近平国家主席(60)との首脳会談を行うのではないかとの観測も広がる。中国国務院台湾事務弁公室の報道官は10月16日、首脳会談は「長年来の主張」であり、「国際会議の場を借りる必要はない」と述べ、APECにこだわらず実現を目指す姿勢を示した。
公式な肩書で呼び合う
契機となったのは、(10月)6日にインドネシア・バリ島で行われた習氏と台湾の蕭万長(しょう・ばんちょう)前副総統(74)との会談だ。習氏は「両岸(中台)の政治的な(意見の)相違を次の世代に残してはならない」と強調。中台双方の閣僚級主管当局者も初めて対面し、公式な肩書で呼び合った。中台は双方の政権の正統性を認めておらず、役職抜きで呼び合うのが通例なため、中国系香港紙、文匯報(ぶん・わいほう、電子版)は10月7日付の社説で、「台湾側は習氏が伝えた政治対話の始動に向けた新たな合図に積極的に応じるべきだ」と主張した。