太平洋に浮かぶ島々から成るキリバス共和国出身の男性が、家族とともに現在暮らしているニュージーランドの裁判所に、難民としての亡命を求める訴えを起こした。地球温暖化による海面上昇で水没の危機に瀕(ひん)しているキリバスに戻れば、安全に暮らせないというのが、その理由。移民当局に難民申請をしたが却下され、このままでは強制送還されるという。将来的に気候変動によって住むところを失った難民が増大するといわれており、世界初のケースとみられる“環境亡命”の行方に注目が集まっている。
「帰れば未来はない」
「キリバスに帰ったら、われわれ家族に未来はない。子供たちを危険にさらすことになる」
キリバス人男性のIoane Teitiotaさん(37)は、家族の置かれた状況をこう訴えた。オーストラリア放送協会(ABC)は、亡命が認められれば、「気候変動を理由とした世界初の公式難民になる」としている。
ロイター通信やAP通信などによると、この男性は2007年に妻とともにキリバスから移住し、3人の子供をもうけた。