【本の話をしよう】
最近地方に行くことが多い。図書館やら、何やらの仕事でそれらの地を訪れるのだが、よく自治体の人に新しくつくったというキャラクターを見せられる。帰りがけに。彼らは満面の笑みで「こんなのつくっちゃったんですよー。どうですか?」と、流行りの「ゆるキャラ」を自嘲気味に教えてくれるのだが、残念ながら可愛くない。そう、「ゆるキャラ」は緩くつくってはならない。
『くまモンの秘密』(1)でも明らかなように、「ゆるキャラ」制作には精度の高いデザインと、プロデュースという名の差し出し方の妙が重要になってくる。もっというなら、現場の情熱、トップの理解も欠かせないファクター。そのあたりは「熊本県庁チームくまモン」の本を読んでいただくとよくわかる。ともあれ、驚くべきことに「くまモン」関連商品の売り上げは293億に達したという現実が目の前にはある。「ゆるキャラ」全盛の世の中だ。
そもそも、「ゆるキャラ」という言葉を最初に定義した本はみうらじゅんの『ゆるキャラ大図鑑』(2)だった。2004年のことだ。雑誌『SPA』で連載されていた全国のご当地キャラクターを集めたイシューをまとめた一冊だったが、その編集方針は基本的に「とほほ」だったはずである。