払拭されない懸念
オバマ氏がこうした窮地に追い込まれる懸念は現在でも払拭されたわけではない。今後、アサド政権が化学兵器の保管状況の報告を遅らせたり、一部の化学兵器を隠匿しようとするなどの非協力的な態度に出れば、オバマ氏は化学兵器の使用拡散を食い止めるために再び軍事行動に向けた手続きを進めざるをえなくなる。この場合の米世論の動向は不透明だが、やはり軍事行動に消極的な意見が多数を占めることも考えられる。
今回、オバマ氏がとった強硬策は相手側が妥協に応じることで一定の成果を上げたが、その過程では、仮に妥協を得られなかった場合の反動の大きさも想起させたといえる。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)