【IT風土記】岐阜発 目指すは「お金の地産地消」 飛騨信組が取り組む電子地域通貨「さるぼぼコイン」 (2/3ページ)

 スマホに「さるぼぼコイン」のアプリをダウンロードし、飛騨信組の口座や信組の窓口でお金をチャージすると、1コイン=1円で利用が可能になる。加盟店は支払いに使われたコインを預金口座に換金して入金できるだけでなく、他の加盟店への送金にも利用できる。アプリには、加盟店の店舗情報やGPS機能を活用した地図案内なども掲載。割引のキャンペーンなど利用者向けの誘客にも活用することができる。ただ、地域通貨なので、「さるぼぼコイン」が使えるのは、飛騨信組の営業エリアである高山市、飛騨市、白川村の加盟店に限られ、利用者も現在のところ、このエリアの住民が中心だ。

飛騨高山エリアで古くから作られてきた郷土人形「さるぼぼ」

飛騨高山エリアで古くから作られてきた郷土人形「さるぼぼ」

 「地元においしい寿司店があるのに、地元の人はわざわざ富山や石川まで食べに出かけてしまう。高速道路などの交通網が発達によってエリア外での消費が増え、地元はシャッター商店街が増えてしまいました。このままでは先細るばかり。地元にお金を回す仕組みを模索する中で、電子地域通貨にチャレンジすることにしました」と、水口部長は、「さるぼぼコイン」を導入した背景を話してくれた。

映画「君の名は。」の舞台として話題を集めた飛騨古川駅

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 地元のお金を地元で消費

 飛騨信組の営業エリアには高山市だけで年間460万人もの観光客が訪れる。他の自治体同様、先行きは厳しさが増す。2005年の市町村合併で日本一面積の広い市となった高山市だが、人口は9万人を割り込み、合併当初目標としていた10万都市が遠のいている。飛騨市も人口減に悩まされており、地域経済の地盤沈下が危惧されている。

市と信組、市民がウィンウィンの関係となるように