始まる「がんゲノム医療」(上) 薬局に遺伝子タイプ別の薬が並ぶ日が来る (1/4ページ)

日本科学未来館の展示「未来のドラッグストア」。アレルギー性鼻炎や胃腸薬でも、個々の遺伝子の型に合わせた薬が登場することを予測している=東京都江東区(吉沢良太撮影)
日本科学未来館の展示「未来のドラッグストア」。アレルギー性鼻炎や胃腸薬でも、個々の遺伝子の型に合わせた薬が登場することを予測している=東京都江東区(吉沢良太撮影)【拡大】

 ショーケースに並ぶ胃腸薬、解熱剤、アレルギー性鼻炎の治療薬…。だが、同じ胃腸薬でも、患者の遺伝子のタイプごとに商品がある。将来は、遺伝子のタイプ別に薬が開発され、個々人が自分に合う薬を購入することをイメージした日本科学未来館(東京都江東区、毛利衛館長)の展示「未来のドラッグストア」だ。

 同館の科学コミュニケーター、毛利亮子(あきこ)さんは「遺伝子は身体の設計図。遺伝子のタイプごとに薬を選ぶのが、未来のドラッグストアです。こうした個別化医療の時代が来ることは、だいぶ以前から予測されていました」と言う。

 この展示のように、ドラッグストアに遺伝子のタイプ別の薬が並ぶのは、まだしばらく先になる。だが、がん治療の現場では、患者のがん細胞の遺伝子変異を調べて、一人一人に最適な治療薬を見つける「がんゲノム医療」が実用化のスタートラインに立った。

                   

 東京都中央区の国立がん研究センター(中釜斉(なかがま・ひとし)理事長)の中央病院で4月、患者のがん細胞から、がんに関連する遺伝子変異を1回の検査で網羅的に調べる「遺伝子パネル検査」とそれに基づいて最適な薬を選ぶ診断が、国の「先進医療」で始まった。

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