【IT風土記】香川発 企業・市民の活用がカギ 高松市「スマートシティ」テーマにシンポジウム開催 (2/3ページ)

 「ファイウェア」とはどんなものなのか。ファイウェアの普及を目指す非営利団体「ファイウェア・ファウンデーション」の望月康則理事(NEC執行役員)は、こう説明する。

 「これまで交通や防災、金融などそれぞれの分野で独自のプラットホームでデータを活用していたが、分野を横断してデータを利用することが難しかった。ファイウェアはシステム間のデータをオープンに利用できる。分野を横断したデータの利活用が容易になり、今までできなかった新しいサービスを生み出す可能性も出てくる」

 例えば、独自のプラットホームでデータを活用している企業のデータを自治体が利用する場合、自治体が活用するプラットホームで活用できるようデータを入力し直す必要があるが、企業と自治体が共通プラットホーム上でデータを活用していれば、そうした作業を省くことができる。コスト削減の効果も期待できるという。

 スタートは観光・防災分野から

 高松市では、2月27日から観光と防災分野でファイウェアによるデータ利活用の活用を本格的にスタートさせた。シンポで、高松市の広瀬一朗総務局次長は高松市の取り組みを説明。観光分野では、GPSを通じて移動経路を記録する「GPSロガー」を同意を得た観光客に人気のレンタサイクルに設置。訪日外国人観光客に利用してもらい、外国人観光客がどんな場所に移動し、どんなところを観光しているのかの情報を国籍などの属性別に収集する。

高松市のスマートシティ構想について説明する広瀬一朗・高松市総務局次長

高松市のスマートシティ構想について説明する広瀬一朗・高松市総務局次長

 また、防災分野では、大雨や高潮などの災害に備え、水路や護岸に水位センサーや潮位センサーを設置。その情報を市役所でモニタリングし、災害情報をいち早く市民に知らせる仕組みを構築し、早期の災害対策に活用するという。

データ利活用のカギを握るのは