国の文化審議会(馬渕明子会長)が、国の登録有形文化財にするよう林芳正文部科学相に答申した日光東照宮の旧宝物館(栃木県日光市山内)は、鉄筋コンクリート造りながら日本家屋の特徴がみられるモダニズム建築として評価された。近く答申通り告示され、県内の国登録有形文化財(建造物)は241件となる。答申は9日。
東大の安田講堂を手がけた建築家、岸田日出刀(ひでと)氏が設計し、昭和42年に完成。建物の周囲を高欄付きのテラスが囲み、板葺(ぶ)き風の屋根や壁から突き出た梁(はり)などが特徴的なモダンなデザイン。東照宮では平成27年3月に新宝物館が開館、旧宝物館はその役割を終えた。
また、日光二荒山神社(同)の薙刀(なぎなた)類(祭礼武器類)の国重要文化財への追加指定も答申された。同神社は既に金銅装(こんどうそう)神輿(みこし)などが国重文に指定されおり、県内の国指定の重文(美術工芸品)は125件のまま。
重文追加指定が答申された祭礼武器類は、「金銅装蛭巻(ひるまき)薙刀」3口と「金銅装黒漆(くろうるし)薙刀」2口、外装に当たるそれそれの拵(こしらえ)。既に重文に指定されて神輿を中心とする祭礼に供奉(ぐぶ)したとみられるもので、鎌倉時代~南北朝時代初期の刀身、南北朝時代の外装がほぼそろって残っている。同神社所蔵の刀剣類を調査した結果、祭礼供奉の様相を知ることができる貴重な宝具類として、評価された。(楠城泰介)