発症3時間以内で病院に到着するのが理想
脳梗塞への対処には次のような基準があると菅原氏が教えてくれた。キーワードは「FAST」である。
F(FACE)=顔の麻痺、A(ARM)=腕の麻痺、S(SPEECH)=ろれつが回らない。これらの症状が出たら、「すぐに救急車を呼んで脳卒中専門病院を受診すること」(菅原氏)。つまり、T(TIME)=病院に行くまでの時間が回復のカギを握るからだ。
「検査時間を考えると発症3時間以内で病院に到着するのが理想。受診が早ければ『tPA』という血栓を溶かす薬を使うことができます」と菅原氏。
以下は再び予防の話になる。
キーワードは「楽しい未来」を描くこと
菅原氏は日々の外来診察で、「患者は医者の言うことをなかなか聞いてくれない」ことを痛感したという。たとえば血管リスクの5大要因は、(1)血圧、(2)コレステロール、(3)中性脂肪、(4)血糖値の各数値と、(5)酒・タバコだが、「高血圧気味なので、食事は少し薄味にしましょう』と伝えても、『はい、わかりました』で終わってしまいます」。
そこで言い方を変えた。
「肥満気味の中高年女性なら、『あと○キロ痩せれば、若い頃の服が着られますよ』と伝えるのです。痩せて昔の赤いドレスを着ることができ、検査数値が改善した患者さんもいます。60代から社交ダンスを始めて、今では先生になった高齢女性もいます」