兵庫県の中央東部にある丹波市が2017年4月から市内の医療機関と連携してICT(情報通信技術)を活用した予防接種の判定システムを稼働させた。接種対象者全員の接種履歴などを管理し、ワクチンの種類や間隔に誤りがないかを自動で判定する。乳幼児期には数多くの予防接種を受ける必要があり、接種ミスや漏れを起こしやすいが、本システムは予防接種の安全性を高める効果が高く、安心して暮らせるまちづくりに貢献している。
管理が難しい乳幼児期の予防接種
「丹波市では毎年約3万人に予防接種を行っていますが、毎年15、16件の接種ミスが発生していました。幸い健康被害はありませんでしたが、あってはいけないことです。予防接種の実施主体としてミスが起きない環境を整備することが長年の課題でした」と丹波市健康部健康課総務係の北野博史係長はシステム導入の背景を語る。
丹波市は予防接種法に基づいて、市の医師会に委託し、国が推奨する定期接種(B型肝炎やBCGなど)を行っている。接種費用は市が負担し、市民は無料で接種を受けることができる。特に0~3歳までの乳幼児に行う定期接種は計7種類、延べ19回のワクチンを接種することが求められている。ワクチンによっては半年の間に3~4回接種するものもある。スケジュール管理に穴が開くと、決められた間隔を空けないまま次の接種をしてしまったり、誤ったワクチンを接種してしまったりといったミスが少なからず発生してしまうという。
「ウイルス・細菌の毒性を弱めた生ワクチンの場合、接種間隔を27日以上、ウイルス・細菌の感染力を失わせた不活化ワクチンの場合、接種間隔を6日以上空けなくてはいけない決まりになっており、接種間隔が複雑に入り混じると、簡単に接種が可能かどうかの判断が難しいんです」と北野係長は語る。