【IT風土記】香川発 AI農業で熟練農家の“匠の技”を学ぶ 多度津町のオリーブ栽培 (3/3ページ)

 県がまとめたオリーブ産業強化戦略では2014年度に383トンあったオリーブの生産量を20年に500トンまで増やすことを目標に掲げている。それには主要産地である小豆島だけでなく、多度津町のように香川県本土での生産を広げることも求められる。また、後継者となる新規就農者の確保も大きな課題だ。森末課長補佐は「新規のオリーブ栽培に就農した人が早く一本立ちできるようにするためにもこのシステムを活用していきたい」と学習支援システム開発のねらいを明かした。

 香川県で取り組んでいるオリーブ栽培技術の学習支援システムは、慶應義塾大学環境情報学部の神成淳司准教授が提唱したAI農業の考えに基づき、NECソリューションイノベータが開発したシステムで、作物に合わせて学習コンテンツを入れ替えることができる。現在、香川のオリーブだけでなく、ミカンやマンゴー、イチゴ、アスパラガスなど全国各地のさまざまな作物の栽培で同様の取り組みが広がっている。

AI農業の提唱者である慶応義塾大学の神成淳司准教授(羽田空港)

AI農業の提唱者である慶応義塾大学の神成淳司准教授(羽田空港)

 神成教授は「そもそも日本の農家は同じ面積当たりで3倍、5倍も稼ぐ人がいる。熟練農家になると、70歳を超えても2000万円稼ぐ人もいる。こんなにも可能性のある産業は意外と少ない。その意味でも農業は産業としての可能性を持っている」と語る。農業を成長産業に変身させるカギとなるのは「暗黙知(匠の技)の形式知化(見える化)」という企業の経営管理手法の導入だ。

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