【IT風土記】石川発 IoTが市民と温泉街を救う クラウド技術で水道管の漏水を監視 (2/3ページ)

 センサーは缶コーヒーほどのサイズ。センサーを設置後、受信機を搭載した車で通行し、センサーを設置したエリアを通行しながら、データを取得。漏水地点はインターネット上の地図に表示して提供される。深山課長補佐によると、1週間ほど設置してデータを収集すれば、水道管の状況が把握できるという。

水道管から発信される漏水のデータは受信機を装着した車から取得する

水道管から発信される漏水のデータは受信機を装着した車から取得する

 温泉街特有の見つけられない事情

 一般的な水道管の漏水の探索は、舗装された道路に聴診器のような機器を当てて漏水の音を耳でさぐりあてる。住宅街やオフィス街では、寝静まった深夜から早朝にかけて作業が行われるが、和倉温泉は、この方法では漏水をうまく探し当てられない事情があった。

 「旅館やホテルでは、営業が深夜に及びます。旅館に温泉をくみ上げるポンプが深夜まで稼働していたり、深夜まで人の動きがあったります。そういった音があると、音だけで漏水を見つけるのが難しいのです」と市上下水道課の西本義光課長は語る。

七尾市役所建設部上下水道課 西本義光課長

七尾市役所建設部上下水道課 西本義光課長

 和倉温泉周辺の土壌は、藻類の一種である「珪藻(けいそう)」が堆積してできた『珪藻土』でできていて老朽化が進みやすい。水道管をつなぐボルトが腐食しやく、市内の他の地域よりも漏水を起こすリスクが高く、対策が求められていた。高性能のセンサーを活用したこのシステムは発見の精度が高く、さらにスピーディーに判別できるメリットがある。ほぼピンポイントで漏水地点を探し当てることもでき、工事の効率化やコストダウンにもつながったという。

能登島大橋から望む和倉温泉。周辺の土壌は珪藻土で水道管をつなぐボルトに悪影響を及ぼすという

能登島大橋から望む和倉温泉。周辺の土壌は珪藻土で水道管をつなぐボルトに悪影響を及ぼすという

 こうした市の対応に和倉温泉観光協会の宮西直樹事務局長は「水道水はどこにでもある当たり前のものというイメージがありますが、安全・安心という点では重要なインフラで、管理に力を入れていただいているのは大変ありがたい」と評価している。

和倉温泉観光協会の宮西直樹事務局長

和倉温泉観光協会の宮西直樹事務局長

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