つまらない仕事をコツコツやっていた、かつての新入社員時代の同期たちは、今は業界で活躍中です。彼はどうかというと、間もなく失業保険が切れ、貯蓄もありません。「近所のコンビニのバイトは時給1200円だって。時給が高くなったよな。次の就職までバイトしようかな……」。ため息まじりに語る彼に、かける言葉はありませんでした。
「好きなことだけしたい」は結局「自分探し」にすぎない
これは実際にいる知人をモデルにして一人の話にまとめたものですが、あなたの周りにもきっと同じような人がいると思います。
彼の何が問題だったのでしょうか? 結論を言えば、30年間ひたすら「自分探し」しかやっていないからです。どこかに「本当に自分が好きな仕事がある」と考える。そしてひたすら「好きな仕事」に巡り会うチャンスを追い求めてきたのです。
しかし現実には、最初から自分の希望通りの仕事ができることはめったにありません。仕事は顧客がいて初めて発生するものです。もし好きなことをやりたいのならば、お金を払う顧客がいる「仕事」ではなく、顧客を気にしなくてもいい「趣味」としてやるべきでしょう。顧客の存在が大前提となる仕事では、現実には希望しない仕事を与えられることが多いものです。また希望する仕事に就いたものの「実態は想像とは違う」ということもあります。
小林の場合も、「これだ! これぞオレがやりたい仕事だ」と意気揚々と職に就いたものの、「話と違うじゃないか。これはオレがやりたい仕事じゃない」と失望し、離職することを繰り返してきたのです。