再就職も「焦らず前職と同じくらいの収入のところを探したほうがいい」という妻の助言もあり、この2年ほど、主夫の傍ら、自宅でコンサルタントなどの仕事を受けつつ機会をうかがってきた。市況が回復してきた今、やっと就職活動を本格化させはじめた。
「弱肉強食の外資の場合、本当に欲しければ前職と同等以上の年収を提示します。無職だと買いたたかれがちな日本企業とは違うんです」
守れなかった部下、残る野心
滝沢さんには、前職で忘れられない苦い記憶がある。サブプライムで巨額のロスを出した会社は、優秀だった滝沢さんの部下の一人をリストラの標的にした。事をスムーズに運ぶため、直属の上司だった滝沢さんがつけた査定は、さらに上の上司によって勝手に低い評価に変えられていた。それを知った滝沢さんは上司に激しく抗議したが、逆にそれが滝沢さんの「寿命」をも縮める結果に。結局、部下とともに解雇されてしまった。
「権力を持つ人間を敵に回すと即刻クビにつながる。わかっていたつもりですが甘く見ていた。部下が再就職できたことがせめてもの救いです」
常にもっとよい給料、もっと上のポジションを求め、滝沢さんは20代からアグレッシブに外資を渡り歩いてきた。
「先のことはあまり考えず、30代まではずっと右肩上がりだった」という野心的な姿は、前出の根本さんに重なる。