ちなみに重慶から武漢までの乗車時間は約7時間で、飛行機なら羽田空港からシンガポールまで行けてしまう。「外国人のお客様は、みなさま英語が通じる飛行機で移動なさいますから」「重慶から武漢まで飛行機なら1時間半で便数も多く、価格も鉄道より安いですから」。宿泊したホテルのレセプショニストやコンシェルジュが口を酸っぱくして制止するのを振り切って、鉄道移動を選んだ私。英語がぺらぺらの26歳美人コンシェルジュは、諦めた表情で「車内で必要になるだろう考えられる限りの中国語」をメモしてくれた。準備は整った。いざ、重慶北駅へ!
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら