IT風土記

北海道発 海のビッグデータ操る「マリンIT」 漁業での活用に期待 (2/4ページ)

 定住人口の減少は日本全体の課題で、函館市だけで取り組めることは限られている。工藤市長は、「豊富な観光資源を武器にインバウンド(訪日外国人客)を含めた交流人口の拡大に取り組んでおり、成果が上がってきた」と自信を深める。さらに、定住人口の減少に歯止めをかけるために取り組んでいるのが、IT企業の誘致や子供向けのプログラミング教育だ。「子供時代にプログラミングを教えることで、楽しみながらITに強い人材が育つ。今でも大手IT企業の拠点を誘致しているが、人材が豊富になることで、人材の獲得に苦心しているIT企業が集積する」からだ。

 工藤市長は「ICTの企業や技術者が集積する街づくりが実現すれば、時間はかかるが、若者が戻ってくるはず」と信じている。その自信を支えているのは、函館が生んだロックバンド、GLAY(グレイ)のTAKUROさんの言葉だ。グレイのほとんどの楽曲の作詞作曲を担当するTAKUROさんは、工藤市長との対談の中で、「東京では放出するだけで充電はできない。曲作りは函館でやります」と話したという。物事を考えて企画したりするのは、函館のような落ち着いた街が適している。今は、高学歴の若者たちが満足して働ける場所は多くないが、ICTによる街づくりが進めば、才能豊かなクリエイターたちを生み出せる土壌はあると考えている。

マリンサイエンスで世界をリード

 函館市は豊富な水産資源に恵まれ、水産・海洋分野の学術研究機関や関連産業が集まっている。対馬海流、リマン海流、親潮(千島海流)という3つの異なった海流が流れ込む恵まれた地理的・自然的条件にある地域の優位性を高めようと、国際的な水産・海洋に関する学術研究拠点都市を目指そうという取り組みにも力が入っている。

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