平穏死には科学的根拠もあります。老衰による死には苦痛を伴わないことが、近年、科学でも証明されるようになったからです。昨秋「NHKスペシャル」でも放送され、この番組は最近ドイツのドキュメンタリー賞を受賞しました。つまり高齢化社会として先を行く日本の現状は、世界から注目されているのです。
実は、私も今年81歳になります。この後に残された時間に、医師として、人間としてどうあるべきかを伝えることが、私の使命だと考えています。(972円 誠文堂新光社)
◇
【プロフィル】石飛幸三
いしとび・こうぞう 1935年広島県生まれ。61年慶応義塾大学医学部卒業。同大学外科学教室入局後、独フェルディナント・ザウアーブルック記念病院での勤務を経て、東京都済生会中央病院に血管外科医として勤務。同院副院長を経て、2005年から特別養護老人ホーム・芦花ホーム常勤医。著書に『「平穏死」のすすめ』『「平穏死」という選択』など。