【著者は語る】野球評論家・広岡達朗氏『巨人への遺言』 (1/2ページ)

2016.3.26 05:00

 □『巨人への遺言 プロ野球 生き残りの道』

 ■指導者や選手に書き残したい野球の神髄

 私は、会社勤めをしたことがない。早稲田を卒業して巨人に入り、引退してからはコーチ、監督。その後は評論家活動をしているのだから、野球一筋の人生だった。そして歳を重ねるごとに募ったのが「日本の野球は間違っていることが多すぎる。このままでは野球はダメになってしまう」という危機感だ。野球中継がテレビの地上波から消え、不祥事が続くプロ野球が生き残るにはどうしたらいいのか。現場の指導者や選手たちに、どうしても書き残したい野球の神髄を、本にした。

 タイトルは、私が現役時代ショートを守った『巨人への遺言』となっているが、もちろん内容は巨人の問題だけではない。

 世間を騒がせた清原和博の覚醒剤事件や拡大する野球賭博事件は、番長・清原やリリーフエース・高木だけの責任ではない。野球しか知らない純粋な青年が、金と欲にまみれたプロの世界で崩れていくのを見抜き、未然に防ぐ教育と指導を怠った監督・コーチや球団幹部の責任こそ問われなければならない。

 巨人は高木問題が発覚したとき「うみを出し切れなかった」と悔やんだが、野球人生を奪われる選手が「私もやりました」と自白するはずがない。球団も「これ以上、事件が広がらないでほしい」と思うのが本音なのだ。

 球界が本気で不祥事の連鎖を断つ気なら、コミッショナーが先頭に立って指導力を発揮し、抜本的な再発防止策を打ち出すしかない。

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