中小企業などの知財経営を支援する一般社団法人・知的財産教育協会中小企業センター(東京)の高崎充弘センター長は「資金力の乏しい中小がビジネスで大手企業と対等に渡り合うためには、独自の技術力が必要不可欠。その技術の情報を守る正しい知識を中小に浸透させることは緊急の課題だ」と警鐘を鳴らす。
ただ、知財管理の重要性を認識していても、下請けの立場から大手の取引先に秘密保持契約の締結を求めにくいという事情がある。関西の部品メーカー幹部は「新規の取引先を開拓する営業活動で、秘密保持契約の話を相手にすると『自分の会社の権利ばかり主張する企業とはつきあえない』と嫌みを言われたことがある」と打ち明ける。
知財重視で信頼も
大手の取引先と良好な関係を保ちながら、営業秘密を守る両立の経営は「至難の業」(中小経営者)だ。しかし、自社だけでなく、取引先の技術や情報をもきちんと守る姿勢を示すことで取引先からも逆に信頼されている中小企業がある。プレス加工業のJKB(川崎市)だ。